2024.03.10
先月、下記内容の講演を聞きに行ってまいりました。大変衝撃的な内容でしたのでこちらでもご報告いたします。
~損害保険会社の真実~ビッグモーター問題で浮き彫りになった大手損害保険会社の闇~
講師 フリージャーナリスト・ノンフィクション作家 柳原 三佳様
内容としましては・・・
昨年メディアを賑わしたビッグモーター問題のマスコミの取上げ方から、この問題の本質について様々な角度から説明がありました。
BM社との取引の際に「自賠責保険の数に対して修理車輌の紹介」という事が明らかになっていますが、なぜ損保はそこまで自賠責保険を欲しがるのか?という疑問から始まったようです。
自賠責保険は「ノーロス・ノープロフィットの原則」で運営されている事が原則で【利益も損失も出さない】ことが求められています。
つまり社会福祉に近い形で運営しなければならないはずなのです。
ところが、自賠責1件当たり社費として5056円が全ての損保に一律に手数料として支払われています。
損保各社一律なので競争の原理も働かない状況で、被害者救済を目的とした自賠責保険が損保にとってはとても重要な収入源であるのでは?という疑念がわきます。
「払い渋りの実態」
払い渋りと聞きますと、私は修理代の払い渋りが頭にパッと浮かびますが、損害率を下げると表彰される異常な業界という事で、修理代だけでなく被害者に対しても数々の支払い渋りの実態が紹介されました。
飲酒運転でひき逃げされた20代の女性に対して自賠責保険すら支払われなかった案件が紹介されたり、聴覚障害のあるお子様が歩道を歩いている時に、てんかん発作を起こした作業用の車に轢かれて亡くなった案件では「聴覚障害者は9歳ぐらいで知能の発達が止まるので、思考力、言語力、学力を獲得するのが難しく、就職自体が難しい。したがって、逸失利益(生涯の収入見込み額)の基礎収入を、聞こえる女性労働者の40パーセントが妥当」と主張してきた事例も紹介されました。
ちなみに、この時の損保会社は自社サイトで障害のある方の採用を積極的にアピールしているにもかかわらずです。
又、事故により片目を失ってしまった被害者には「片目を失明しても、10年すれば慣れる。だから逸失利益も10年間で計算する」などと信じがたい主張をしてきた事例も紹介されました。
この様な信じがたい事例を損保会社も被害者の方も実名を全て挙げて紹介されまして、事故車の修理に関わる私としても驚きと怒りで言葉を失う講演の内容でした。
柳原さんが問題点として掲げたのは、自賠責保険と任意保険の2段階払いの構造にも問題があるとおっしゃっていました。
本来、自賠責保険の思想は被害者救済を念頭に社会福祉に近い形で補償するという素晴らしい理念があるにもかかわらず、2段目に支払う事になる任意保険を安く済ませたい損保にとっては、自賠責保険の支払い時点で査定を下げておかないと、任意保険での保険金支払いを下げづらくなる。という思考が働くのではないか?とおっしゃっていました。
「今回の講演で感じたこと」
自動車保険に加入する際に契約者が求める事は、万が一自分が加害者になってしまった場合に、相手様に十分な補償をするために加入するはずです。ところが損害保険会社の「損害率を下げたい」という意向が働くことで、相手様を補償するという目的を十分に果たせないケースが実際には沢山ある事を知りました。
人の命や障害に対しても「損害率」という感覚が働くのが保険会社だとすると、車の修理費に対して「丁寧に損害を確認し復元するために必要な作業を研究、精査して適正な価格を提示する」という査定業務自体が、正しく行われるはずがないよな。。。とも思いました。
そもそもですが、どうしても「損害率」の関係で払い渋りが実態としてある訳ですから、保険会社が事故調査と査定をすること自体に無理が生じていると感じます。
ここは第3者機関が事故調査と査定をするシステムを構築しないと、このような被害者は無くならないのではないか?と感じました。ここは政治の力で抜本的な構造改革が必要だと思います。
自分や身の回りの大切な人が、被害者になる可能性もありますので、まずは現実を知っておかないといけませんね。
柳原 三佳様の公式サイトは↓ ↓
書籍の購入も可能で、フェイスブックでも情報を発信されております。
YouTubeでも「聴覚障害 事故」で検索するとニュース動画が沢山出てきますので是非沢山の方々にご覧いただきたいです。